首相官邸|最低賃金の各都道府県における引上げ等についての会見

(全ての都道府県の最低賃金が取りまとめられ、7月の実質賃金についても数値が公表されたが、これらの受け止めと、今後の対応について、また、週内にも、経済対策策定の指示を出すとの一部報道があるが、事実関係について)

 本日までで、最低賃金について、全ての47都道府県の地方最低賃金審議会で答申が取りまとめられました。それらの結果、先月、中央(中央最低賃金審議会)で取りまとめました目安6.0パーセント、これを大幅に上回る6.3パーセント、引上げ額は過去最大の66円となりました。全国加重平均は1,121円ということになっております。最低賃金の水準で区分いたしましたAからCランクのうち、最も低いCランクの県においては、加重平均8.0パーセントという大幅な引上げとなり、これは都道府県間の格差縮小にもつながる結果となったものでございます。各地域の公労使の皆様方には、2020年代に1,500円と、このような高い目標に配意をいただきつつ、地域の実情に応じて、データに基づく議論を真摯に行っていただいたものでございまして、本当に心から感謝を申し上げたいと思っております。
 あわせまして、本日、毎月勤労統計の速報値が公表されました。高い賃上げが浸透する中で、実質賃金は7か月ぶりになりますが、プラスに転じ、賃金上昇が物価を上回ったものでございます。「賃上げこそが成長戦略の要」というようなことをずっと申し上げてきたものでございますが、この基本的な考え方が着実に浸透して成果を挙げているものというふうに考えております。最低賃金の引上げに対応していただく中小企業の皆様、小規模事業者の皆様、そういう方々を、政府として強力に後押しをしてまいります。これまでの取組に加えまして、業務改善助成金の対象となる事業者の皆様の拡大を行います。また、ものづくり補助金などにおける補助率の引上げ特例の要件を緩和します。中央の目安以上に賃上げを行っていただく中小企業の優先採択を行います。それらの措置をこれから講じてまいります。なお、中小、あるいは小規模事業者の方々の課題は、当然のことながら一律ではございません。このため、地域を豊かにしていきますためにも、関係省庁・機関がリードをして、経営支援の専門機関であります「よろず支援拠点」、これは各都道府県ごとに設置をしているものでございますが、そういうものにおいて、伴走支援というものをきっちり行ってまいります。また、金融機関、商工会議所、業界団体などにも御協力を頂いて、我々が、賃上げを実施していく、それを中小・小規模事業者の方々にやっていただくためには、我々として、待ちの姿勢、何かあったら来てくださいっていうことではなくて、こちらから出向いていく、そういうプッシュ型のきめ細かい支援を徹底してまいりたいと、こう思っております。全ての労働者の1割強になると思いますが、660万人とも言われております、最低賃金の近くで本当に一生懸命働いておられる方々、額に汗して働いておられる労働者の方々、そういう方々に、明日の心配がない暮らしをしていただくために、更に努力をしていかねばなりませんし、先ほど申し上げましたように、賃上げに努力いただいている中小企業の皆様、小規模事業者の皆様、そういう方々に、きめ細かい支援をするということが、我々の内閣の責務であると考えております。各業界を所管をしております関係省庁は、一体となって、この周知・広報、これを徹底をいたします。国民の皆様方の安心に向けた賃上げへの環境整備に、今後とも最大限努力をいたしてまいりたいと考えております。
 また、経済対策についても御質問があったかな、経済対策についてでございますが、今申し上げたように、物価高に負けない賃上げを実現するということが物価対策の基本でございます。あわせまして、賃上げが物価上昇を安定的に上回るまでの間、困っておられる方々、本当に苦しんでおられる方々、そういう方々を支援するための対応が必要であると考えております。このために、与党として公約をいたしました物価高対策としての給付金について、参議院選挙における議論も踏まえまして、併せて財政に対する責任も考えながら、与党において検討を行い、野党の皆様方との協議を更に進めていただきたいと考えております。そのような検討協議の状況、更にはアメリカの関税措置の実施状況及びそれの我が国に対する影響、そのような諸情勢を見極めながら、この秋に経済対策を策定をいたします。閣僚への具体的な柱立ての指示は、これは改めて行います。与党とも連携して、この検討を深め、更には党派を超えた協議を呼び掛けて、結論を得ていきたいと考えております。以上です。

(米国の関税交渉においては、大統領令への署名がされ、なおかつ、今回、最低賃金については全国での大幅な引上げが決まったが、この成果をもって、進退について考えられることはあるのか、また、これまでも続投の意思を表明しているが、その意思に変わりはないのか)

 それは、関税対策というものについて、大勢の方々の御努力があって、このような結果となりました。それは、進退とかそういうことと関係なく、政府として、どうしてもやり遂げねばならないことだったと思っております。物価上昇を上回る賃上げも、これは政府としてずっと申し上げてきたことでございますので、政府として、国民に対して果たすべき責任ということを、きちん、きちんと果たすということに尽きます。

(アメリカのラトニック商務長官は、日米合意の実現を高く評価する発言をしているところ、大統領令への署名が日米関係に与える影響について)

 御質問にもございましたが、投資に関する日米了解覚書の署名式において、ラトニック商務長官から、トランプ政権と私どもの政権が、緊密に連携をして、今般の歴史的合意の全ての目標の達成に向けて、今後、すばらしいパートナーシップを築いていきたいと、そのような御発言をなさったということを承知をいたしております。ラトニック長官からは、本日が正に歴史的な日であるのは、日米関係の新たな時代が幕を開けたからであると。このような発言もなさったというふうに承知をいたしております。これも、ずっと私が「関税よりも投資」ということを申し上げてまいりました。2月のトランプ大統領との会談におきましても、「関税よりも投資」ということを申し上げたものでございます。この私どもの一貫した考え方の下で、今回の合意がなったものでございますが、この合意を誠実に、かつ速やかに実施することが必要だと考えております。この一連の取組を通じまして、経済安全保障の確保、我が国の経済成長の促進、これを進めてまいります。これによって日米同盟を更なる高みに引き上げますとともに、この日米の、そういうような合意の実行ということが、日米のみならず、世界経済にもプラスの影響を与えるということを実現するために、速やかに、誠実に、この実施に向けて、政府としても取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、すいません、せっかく御質問を頂いたので追加で申し上げますが、現在、台風15号、これが日本横断中であり、各地で、大雨あるいは突風による被害が生じております。低い土地での浸水、河川の氾濫、土砂崩れ、激しい突風など、そういうものに対します厳重な警戒が必要でありまして、毎回お願い申し上げていることでございますが、自治体の避難情報、テレビ・ラジオ・インターネットなどの最新の情報に注意をしていただいて、できる限り安全な場所でお過ごしいただきますように、心よりお願いを申し上げます。少しでも危険を感じられた場合には、躊躇(ちゅうちょ)なく、早め早めに、自らの命を守る行動というものとっていただきたいというふうに、心よりお願いを申し上げます。

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出典:首相官邸 Webサイト
https://www.kantei.go.jp/jp/103/statement/2025/0905kaiken2.html