厚生労働省|加藤大臣会見概要
(令和5年4月11日(火)9:15~9:25 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
大臣: 冒頭は特にございません。
質疑
記者:
先週金曜に少子化対策に関するこども未来戦略会議がキックオフとなりました。初回の会合では、たたき台をおおむね評価する声が出た一方で児童手当の所得制限撤廃について限られた予算を高所得者に回すことになるとして、財界から「いかがなものか」と疑問視する声が出たと聞いております。大臣は以前一議員の立場とした上で、地域によっては所得制限を超える収入があって子育てをされている方は少ないとして撤廃論への議論の偏りを懸念されていましたが、財界からの今回の声をどうお聞きになりましたか。また議論を通じてたたき台の内容が修正されていく可能性はあるかお考えをお聞かせください。
大臣:
まず児童手当そのものは所管で言えばこれまでは内閣府であり今後はこども家庭庁ということになりますので大臣の会見として申し上げるという立場にはないわけでありますが、ただ今お話があった私が申し上げたのは、こども・子育て政策については幅広く議論をしていく必要があり、所得制限について特に私の地元でこれを申し上げた話でありますが地元においてはまさにそうした所得にある方が残念ながら決して多くない、そういうところを背景に申し上げたということでございますので、今回幅広い中身を含むたたき台が示され今後それに沿って更に総理の下で議論を深め、先般もこども未来戦略会議が開催されたところでありますので、今後とも厚労省としても所管する様々な施策との関係の中でこの会議における議論あるいは政府における議論にしっかりと対応していきたいと考えています。
記者:
最低賃金についてお尋ねします。厚生労働省は先日最低賃金の目安額を示す都道府県別の区分を4段階から3段階に再編することを決めました。その狙いと、2023年の全国平均時給1,000円達成に向けての大臣の考え方をお聞かせください。
大臣:
今般ランク制度の在り方についての調査審議を5年ごとに行う全員協議会において、直近の経済実態をみると全体として都道府県間の格差が縮小傾向にあるということ、例えば平成29年の時点では東京の経済実態を示す数値を100とすると最下位の沖縄では63.1だったが今回は東京が100に対して沖縄は68.5と改善傾向にあるということ、またランク数を減らすことでランクごとの目安額の差により生じる最低賃金額の差が従来と比べて生じにくくなる効果も考えられること、それから平成26年度以降目安が示されなかった令和2年度を除きランクごとに別々の4つの目安額を示した年度が4回、複数のランクで同じ目安額となったことにより3つ以下の目安額となった年度が4回ありますが、目安の最高額と最低額の差は4つの目安額となっている年度では+4円から+6円であるが、3つ以下の目安額の年度では0円から+3円と小さくなっている、こういったことを踏まえて3ランクとすることが適当と4月6日に取りまとめられたわけであります。このランクは実は昭和53年度に目安制度が始まって以来4つで運用されていたものでありますから、3つにするというのは大変大きな変化と言っても良いのだろうと思います。
総理からも先日開催された政労使の意見交換の場において、地域間格差の是正を図るため地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げることも必要と発言されました。地域間格差の縮小は非常に重要であります。また全員協議会の報告では、これまで中央最低賃金審議会が決定した目安額においては下位ランクが上位ランクを上回ったことはなかった、常に下位の方が上げ幅が小さかったわけでありますが、この点について今後の目安審議においては最低賃金法第9条第2項の3要素のデータの状況次第では下位ランクの目安額が上位ランクを上回ることは理論上あり得ることを確認したとされているところであります。今後目安額自体は審議会において議論されていくわけでありますが、そうした考え方そして今回の4ランクが3ランクになったことが今後の地域間格差の縮小に繋がっていくことを期待していきたいと考えております。
最低賃金については政労使の意見交換の場において総理が発言されたように、今年は全国加重平均1,000円を達成することを含め、公労使三者構成の最低賃金審議会でしっかりと御議論いただきたいということであります。そして更に1,000円達成後の最低賃金引上げの方針については夏以降議論を行っていきたいと言われているところでございます。そうした方向に沿って対応していきたいと考えています。
記者:
技能実習制度についてお伺いいたします。昨日10日、外国人の日本での労働の在り方を検討する政府有識者会議が、技能実習制度の廃止を求める提言の試案をまとめました。今秋にも最終報告をまとめる予定で、人材確保と育成の双方を目的とした新制度の創設を促しています。技能実習制度を巡る大きな転換点となると思いますが、労働分野を所管する大臣の受け止めをお聞かせください。また制度見直しに向けて厚労省としてどのように携わっていきたいかについてもお聞かせ下さい。
大臣:
昨日の有識者会議では、これまで有識者に議論いただいた内容に基づく検討の方向性が、まずは中間報告書に向けてのたたき台として示されたと承知しております。今後中間取りまとめに向け、たたき台を元に更に御議論いただくこととなると思います。技能実習制度については例えば目的と実態が乖離するといった様々な課題も指摘されているところでございます。そうしたことを踏まえて今回御議論いただいたものと承知しております。今後の検討の方向性について私があらかじめ申し上げることは差し控えたいと思いますが、厚労省としても有識者会議での議論を踏まえ関係省庁と連携して、現行制度の今申し上げたことを含めた課題の改善に向けて検討を進めていきたいと考えております。次回会議においても引き続き中間報告書の取りまとめに向けて議論がなされるものと承知しております。また中間報告書が提出された後は、中間報告書で示された大きな方向性に沿って更に議論がなされていくものと承知しております。今回そうした流れの中における先ほど申し上げた中間報告書のたたき台ということで示されたものでございます。
記者:
冒頭にもありましたが、少子化対策に関する各社の世論調査への受け止めについてお伺いします。朝日新聞が行った直近の調査では異次元の少子化対策で少子化の改善が「期待できる」という答えは「期待できない」の半分に留まっていて、また自身の負担増を認めるかということについては「よくない」という答えが「増えてもよい」という答えの倍近いという回答でした。各社同様の傾向かと思いますが、現状理解が進んでいない要因と今後どのような取り組みを進めていく必要があるのか、大臣のお考えをお聞きします。
大臣:
まさに先月の終わりに、小倉大臣の下で議論してきたことが試案いわばたたき台としてお示しされたということでありますので、これから先ほど申し上げたこども未来戦略会議の下で具体的な議論を骨太の方針の時期を目途に進めていくわけでありますが、まさに今仰ったような様々な声も聞かせていただきながら内容を詰めていきたいと思います。
記者:
関連で、今仰ったこども未来戦略会議の運営についてお考えを聞いてみたいのですが、総理の発言以外は非公開で行っていると思うのですが、国民の理解を深めるためにまた国民的議論を喚起していくという意味でも公開にしてみたらと思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
大臣:
こども未来戦略会議そのものが厚労省で所管している訳ではなく後藤大臣の下で開催していますから、その運営方針について具体的に私が申し上げるのは控えたいと思いますが、ただ非常に国民の皆様の関心が高いテーマであることはもとよりでありますし、総理も仰っているようにまさに危機的な少子化という状況に対してどう国・政府を挙げて対応していこうかということでありますから、そうした中身が伝わっていくようにしていくことが大事だと思います。
(了)
出典:厚生労働省 Webサイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00547.html