法務省|法務大臣閣議後記者会見の概要【令和5年4月25日(火)】
令和5年4月25日(火)
今朝の閣議において、法務省案件はありませんでした。
続いて、私から、新制度の開始が目前に迫った相続土地国庫帰属制度に関して、御報告があります。
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地の使い道がない・管理が難しいといった事情により、それらの土地が放置され、将来的に所有者不明土地となることを予防するために創設された、相続した土地を国に引き渡す制度です。これは、これまでに土地を相続した方や、これから土地を相続する可能性がある全ての国民の皆様にとって、土地の管理・処分の新たな選択肢となるものです。そして、この相続土地国庫帰属制度の申請の受付が、いよいよ明後日4月27日から、全国の法務局で開始されます。制度の開始に先立ち、本年2月22日から全国の法務局で相談受付を開始したところ、約2か月間で、3,000件を超える相談が寄せられており、多くの皆様に関心を持っていただいております。法務省としては、これまで、制度の利用を検討する方のために、申請の手引きを作成・配布したり、法務省ホームページの専用ページで説明動画を掲載したりするなど、情報提供に努めてまいりました。
法務省においては、今後も必要な情報を分かりやすく周知して、制度の適切な利用を促していくとともに、申請に対する適正な審査を法務局で進めることにより、新制度の円滑な運用に努めていきたいと考えています。
入管法改正法案に関する質疑について
【記者】
審議中の入管法改正案についてお尋ねいたします。国連の特別報告者が18日付けで、法案の内容に懸念を表明する書簡を日本の政府に提出しました。「国際的な人権基準を下回っている」という内容で、抜本的な見直しを求めていますが、これに対する大臣の見解をお聞かせください。
【大臣】
御指摘の書簡が公表もされているということは承知しています。特別報告者や恣意的拘禁作業部会の見解は、国際連合又はその機関であります人権理事会としての見解ではないと認識しており、我が国に対して法的拘束力を有するものではありません。このような共同書簡は、前回の改正法案提出時にも受け取りましたが、前回と同様、今回も日本政府の意見を聞くことなく、一方的に見解が公表されたものであります。その結果として、例えば、監理措置制度は逃亡等のおそれの程度のみならず、収容により本人が受ける不利益の程度等も考慮して、監理措置に付すか収容するかを適切に選択する仕組みであって、社会的・経済的地位に基づく差別では全くないにもかかわらず、監理措置は社会的・経済的地位に基づく差別であるなどと指摘しておりまして、入管法改正法案の内容を正しく理解せずに見解が公表されているものと考えています。この点、我が国から事前に改正法案について説明する機会があれば、立案の背景、内容について正確に御理解いただけたと考えており、一方的に見解を公表されたことについて抗議をする予定であります。
いずれにせよ、現在、出入国在留管理庁において、書簡の内容を更に精査しており、今後、誤認等に基づく指摘等を明確にし、改正法案の内容やその適正性について、十分理解していただけるよう、丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えております。
【記者】
冒頭に続いて入管法改正案について伺います。今、与野党で修正協議が行われているかと思うのですけれども、立憲民主党は難民認定に当たって第三者機関の設置で、それによる外の目を入れた難民認定の審査の在り方を求めていますけれども、国会の中でも大臣、何度か答弁されていると思うのですけれど、改めて修正案についてのお考えをお聞かせください。
【大臣】
修正案についての考えということになりますと、協議をされていると報道があるのは承知しておりますが、国会の中で行われている政党間のお話につきましては、政府の立場でコメントするのは適切ではないと思っていますので、差し控えさせていただきたいと思います。
【記者】
入管法の関係なんですけれども、先ほど大臣は、国連の人権機関、特別報告者が、一方的に見解を発表したとおっしゃっていましたけども、特別報告者の手続というのは、国連人権理事会で承認された綱領に基づくもので、人権理事会の理事国の一つである日本政府も承認しています。一方的に誤解しているというのは、日本政府の方です。上川大臣も前回のとき、全く同じことをお答えになっていました。そのほかにも、一昨年は、UNHCRも入管法の改正に関して懸念表明を出しています。もちろん一部修正した点はあるかもしれませんが、大筋は変わっていません。そういうことを考えますと、やはり、監理措置を含めてですけれども、今回の入管法改正で最も深刻な被害を受けるのは日本で庇護を求めている難民申請者とか、ウィシュマさんを始めとして帰国できない事情がある非正規滞在者たちです。そこでやはり国会審議の中でも色々大きな問題になっていると思います。今年12月には4年に1回のグローバル難民フォーラムが開催されて、日本は共同議長国です。世界の国が入管法改正案の動向について、非常に注目していると思うのですけれども、今回の特別報告者の報告、注意喚起を正面から受け止めて、国会審議を踏まえてですが、政府案をもう1回全面的に見直すことを決断されるようなことは考えていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】
まず、前提として共通認識を持つ必要があると思いますのは、この特別報告者や恣意的拘禁作業部会の見解というのは、国際連合又はその機関である人権理事会としての見解ではないというところは、共通の理解を持ちたいと思っています。その上で、私どもの意見を聞くことなく、説明をさせていただくこともなく、一方的に公表をされたものであるという事実関係は御理解いただきたいと思います。そこから先の見解については、残念ながら相違があるのだろうと思っています。その上で今回の法案を抜本的に見直すとお話がありましたけど、この件につきましては、何度も国会でも御説明させていただいておりますけれども、真に庇護すべき者はきちんと庇護し、そしてルールに外れているケースにおいては、ルールに従ってしっかりとした対応をする。それが、我々が出している法案の基本的考えでありますので、この考え方に基づいて、今、法案の審議を行っているところでありますので、私どもとしては少しでも早い成立を目指して努力していきたいと思っています。
【記者】
報道が出て非常に重要なポイントなので聞かせていただきます。立憲側の要請に基づいて、200人の在留資格を付与されてない18歳未満のこどもたちに200人の在留資格を与えるという報道が出ました。ただこれ、取材をしておりますと、国会の質疑で大臣も含めて答弁されている、新ガイドラインが適用された場合、これ、大口公明議員の質問に答えております。最善の利益とそして小中学在学ということに対し積極的に在特の資格を検討する要素に入れるかと、かつ、再審請願のようにもう在特が判断されていないような人にも、経過措置として在特を出すということが適用されるかということに関する答弁を出されていまして、立憲民主党側が求めているから200人に出すということでなく、新ガイドラインに即して考えれば、これらの在留資格が今付与されてない200人の18歳未満のこどもたちにも、この在特資格が出ると。そういう考え方でいいのかどうかという、どちらなのかというのをお答えいただけますか。
【大臣】
まず、お尋ねは、今まさに与野党間で協議をされているという報道がありますが、私からそれについて政府が、いいとか悪いとか、コメントをすべきではないと思っていますので、差し控えたいと思っています。その上で、こどもに関する在留特別許可の在り方につきましては、私は重要な問題であると考えておりますので、現在、どう対応するか検討しているところであります。
【記者】
新ガイドラインが適用されればそのこどもたちへの在留資格付与というのは十分対象になり得るという理解でよろしいですか。
【大臣】
現在検討中でございます。
特定技能2号の対象分野追加に関する質疑について
【記者】
外国人労働者受入れの特定技能2号の関係で伺います。昨日、入管庁などは、2分野から11分野に拡大する方針を自民党に示しました。外国人労働者の永住につながる大きな転換点ともいえますが、拡大方針を示したことについて、大臣の御所感と、また、人出不足が深刻になる中、どのようなことを期待しているか教えてください。
【大臣】
特定技能制度は、生産性向上や人材確保の取組を行ってもなお人材確保が困難な状況にある12の特定産業分野におきまして、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れるものでありまして、平成30年の入管法改正により創設をされました。そのうち「特定技能2号」は熟練した技能を要する業務に従事する外国人を受け入れる在留資格でありまして、現在12の特定産業分野のうち、「建設」及び「造船・舶用工業」の2分野での受け入れが可能となっています。「特定技能2号」の対象分野を追加する場合には、政府基本方針に基づいて、法務省が、分野を所管する省庁及び厚生労働省等の制度を所管する省庁とともに追加する分野の運用方針を変更する閣議決定を求めていくことになります。「特定技能2号」の受入れを行っていない10分野のうち介護分野を除く9分野と、「造船・舶用工業」分野のうち、「特定技能2号」の受入れを行っていない5業務区分につきまして、これまでに、分野を所管する省庁から法務省に対しまして、「特定技能2号」の対象に追加をしたいという要望がありました。これを受けて、法務省を始めとする関係省庁において検討した結果、これら分野の追加が適当であると判断して、現在与党において議論いただいているという段階であります。もっとも、議論が始まった段階でありますので、法務大臣として今後の方向について確定的なことを申し上げることは適切ではないと思いますので、差し控えたいと思いますけれども、そういう背景の中で議論が行われるということであります。
難民審査参与員に係る報道に関する質疑について
【記者】
入管法の改正案の立法事実についてお伺いします。まず、入管の資料によると令和3年の衆議院法務委員会での参考質疑で、難民参与員の柳瀬房子さんが、本当の難民はいないんだと、その濫用が非常に多いというようなことで、入管の送還停止効の例外が必要だというような形で、この間、議論が進んでいるかと思うのですけども、実は柳瀬さんの参与員チームは濫用処理班だったということで、それは、本当の難民はいないでしょうと。難民参与員が多くいる中で、わざわざ濫用処理班である柳瀬さんが、こういった参考人質疑で、本当の難民はいないんだというようなことを言っているというのは、かなり恣意的なのではないかと。ですから、これが意味することは、送還停止効の議論が根底から崩れることになるかと思うのですけども、大臣の御見解を伺いたいと思います。要するに、本当の難民はいないんでしょうか。
【大臣】
報道もあった件についての御質問だと思いますけれど、まず、御指摘の参与員の名誉の観点から、この御質問には大きな前提の誤認があることを強く申し上げたいと思います。御指摘の参与員が難民該当性が低い案件のみしか審査していないということはありません。そして参与員の御発言は、審査した、いわゆる通常の案件の結果について述べられたものであります。前提を述べますと、平成28年以降、誤用・濫用目的と疑われる申請の急増が、通常の難民認定業務を圧迫したために、申請人との対面審査が不要と見込まれる事件等を迅速な審理が可能かつ相当な事件としてまとめて配分する取組を開始しました。これらの案件は、例えばその経済的理由での難民認定申請等、条約上の難民に該当しないことが明らかである場合などを書面審査のみで処理することが想定されているものでありまして、通常、審査請求人との対面審査は実施されていないわけであります。御指摘の難民審査参与員の方は、令和3年の法務委員会におきまして、「平成17年から17年間で2,000件以上の案件を、3対1で対面審査し、そのうち難民と認定すべきと判断できたのは6件」と述べられているものと承知しています。したがって、言及された2,000件以上の案件は、全て二次審査で対面審査まで実施した、いわゆる慎重な審査を通った通常の案件でありました。全て、難民該当性が低いとあらかじめ選別されていたような案件であったということではありません。そして同参与員の方は、対面審査を行って慎重な審査を行った案件を前提として答弁されたもので、御答弁はむしろ、我が国の難民認定制度の現状を的確に表しているものと考えています。
(以上)
出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00409.html