法務省|法務大臣閣議後記者会見の概要【令和6年1月23日(火)】
今朝の閣議ですが、法務省案件はありませんでした。
続いて、1点御報告させていただきます。先週金曜日(1月19日)に来省されました、在日カンボジア大使館のリー大使との会談について申し上げたいと思います。カンボジアは、ASEAN諸国の中では、まず一番最初に「自由で開かれたインド太平洋」を支持してくれた国であります。今回の会談でも、まずそこを踏まえて、ASEAN地域における法の支配の一層の促進に向けた連携をしていこうということで一致しました。
その中で、具体的な取組でありますけれども、昨年7月に開催されました司法外交閣僚フォーラムの成果として、我が国が提唱しました「ネクスト・リーダーズ・フォーラム」の開催をリー大使にも呼び掛けました。是非、有為な人材を参加させてください、参加してくださいということを申し上げました。ASEAN各国とG7の若手職員の中から将来のリーダー候補を選んでいただいて、東京に集まっていただいて、共通の課題について話し合うことで、ネットワーク、人脈、情報共有、情報交換、様々な効果が期待されます。新しい年度、やっていきたいということを申し上げましたら、大変強く関心を示していただきました。
また、来年度、2024年度から国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)で、新たな日ASEAN刑事司法セミナーを開催する予定であります。ここも是非御参加いただきたいということでお願いしました。いずれについても、非常に強い関心を示していただくことができました。
そのほか、JICAの枠組みで1996年から進めていますカンボジアに対する法制度整備支援。これも今、継続しています。2022年から2027年までの5か年のプロジェクトが今進んでいますけれども、それが終了した後もできれば継続したいですよね、という双方の意思疎通をしました。また、技能実習制度の運用上の問題点も担当部局で対応していますけれども、これも緊密に連携をしたい。法改正を考えていますので、是非大使館ベースでも、またお話をしましょう。そういった意思疎通を深めることができたと思っております。
技能実習生の妊娠時の対応等に関する質疑について
【記者】
外国人労働者の妊娠に関してお尋ねします。ベトナムの送出機関が、技能実習生の女性に対し、妊娠したら帰国させられるなどと指導した上で、一部で避妊処置を勧めているという事例があったとの報道がありました。こうした勧めを受け、実際に処置をした人もおり、理由について、勧められたとおりにしないと日本へ行けないと思ったとの声もあります。背景には、日本側の受入れ態勢が整っていないとの指摘もありますが、本件についての大臣の受け止めをお聞かせください。
また、特定技能でも、登録支援機関から妊娠を制限されたり、妊娠後に退職に追い込まれるなどのマタニティハラスメントが確認されています。技能実習生に関しては、2022年に政府として調査されていますが、特定技能や雇用先などに対する調査は必要とお考えでしょうか。大臣の御見解をお聞かせください。
【大臣】
技能実習生や特定技能外国人については、当然のことでありますけれども、日本人労働者と同様、妊娠・出産を理由とした解雇等不利益な取扱いをすることは禁止されております。これまでも受入機関等に対して、こうした不利益取扱いの禁止に係る注意喚起を継続して行ってまいりました。
しかしながら、今御指摘がありましたように、2022年12月に調査を行った結果を入管庁が公表しましたが、妊娠したら仕事を辞めてもらうなどの発言を受けたことがありますかという問いに対して、26.5パーセントの方がそういう経験があるというお答えをされているわけです。いくつかの設問がこのほかにもあったわけですけれども、まだまだこの不利益取扱いというものの禁止が十分に浸透していないと、実現していないと、確保されていないという実態は明らかでありますので、その後、法務省としましても、なお一層厳正に、受入機関において、技能実習生・特定技能外国人に対するこうした不適正な取扱いをしないような是正指導を行ってきております。
もう一方で、こうした技能実習生の妊娠・出産に関連する権利や利用できる制度などについて、技能実習生側にも周知をしていくことが重要だろうと。技能実習生御本人にもよく周知をしていく必要があるという考え方に基づいて、多言語のリーフレットを作って、これを配布する。あるいは技能実習生手帳などを通じて、これまでも様々な周知を行ってきております。このリーフレットは9言語あり、配布しています。この(リーフレットの)中に、「妊娠しても働けるの?」という問いがありまして、答えは「日本では妊娠等を理由に解雇や不利益取扱いをすることは禁止されています。あなたが希望すれば、技能実習を続けることができます。日本では、こどもが生まれる予定日の6週間前から仕事を休むことができます。」ということが記述されています。また、「出産後、技能実習を続けられる?」という問いについては、「日本では出産後、あなたの身体の健康のため原則8週間は仕事をすることができません。その後、技能実習を再開することができます。また、技能実習を中断し、帰国して出産した場合も、再度入国して技能実習を再開することができます。」と、明確にこういう説明が書かれていますので、これを繰り返し周知していくということを進めていきたいと思います。
そこで、お尋ねの特定技能外国人に対するマタニティハラスメントがあるのではないか、それが確認されているという御指摘でありますが、入管庁が今持っている情報の中で、具体的にこの案件ということが特定されておりません。そういう点も含めて、事実関係をしっかり早急に把握した上で、必要があれば、特定技能外国人に対しても、必要な対応をしていきたいというふうに思っております。また、個別の確認ができたという、マタニティハラスメントが確認されていますという御指摘(については)、具体的な情報があれば教えていただきたいと思います。
(以上)
出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00480.html