法務省|法務大臣閣議後記者会見の概要【令和6年6月21日(金)】

 今朝の閣議ですが、法務省案件として、質問主意書に対する答弁書が4件閣議決定されました。
 続いて私から3つ、御報告させていただきたいと思います。
 1件目は、「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」の一部変更及び「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の改訂についてです。
 今朝の閣議の後、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議が開催されまして、今申し上げました「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」の一部変更、そして、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の改訂が了承されました。
 ロードマップは、我が国が目指すべき外国人との共生社会の三つのビジョン、そして、その実現のために中長期的に取り組むべき四つの重点事項及び具体的施策等を示したものです。
 令和4年6月に決定したもので、令和5年度に一部変更し、今回、新しいものを付け加え、有識者の意見等も踏まえた工程表の見直しなどを行っています。
 また、今般改訂した総合的対応策には、このロードマップの見直しも踏まえて、単年度に取り組む施策のほか、共生社会の実現のために必要な施策が盛り込まれています。
 法務省関係の主な施策としては、ロードマップにおいて、育成就労制度の創設等に伴う外国人材の受入れ環境の整備等に関する施策が新たに大きな柱として盛り込まれ、総合的対応策においては、育成就労制度と特定技能制度の円滑な運用に向けた取組等の施策が盛り込まれています。
 法務省が取りまとめに当たっているということは、総合的調整機能を委ねられているということに基づいているわけですけれども、絶えず関係省庁、あるいは地方公共団体等と連携を強化して、共生社会の実現や選ばれる日本という方向に向けての取組を、今日御了承いただいた二つの施策の柱のもとで、しっかり進めたいというふうに考えております。
 2件目は、「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」について御報告させてください。
 毎年6月22日は、「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」です。
 今年は6月22日が土曜日に当たりますので、その追悼式典が昨日、厚生労働省の碑が立っている中庭で開催されまして、私も出席させていただきました。
 亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、かつて採られた強制隔離政策により、極めて厳しい偏見、差別が作り出され、助長され、これにより、ハンセン病患者・元患者とその御家族の方々が、大変な苦しみと苦難を強いられてきたこと、また、今も強いられていることに対し、政府の一員として、心からお詫びを申し上げました。
 それに加えて、こうしたことを真剣に受け止め、各種人権啓発活動にしっかり取り組む旨も、改めてお誓い申し上げたところです。
 そうした取組の一環として、今般、6月19日水曜日、ハンセン病問題に関する新たな啓発動画をYouTube法務省チャンネルに公開しました。
 「~ハンセン病と家族の物語~夢でしか帰れなかった故郷」というタイトルです。
 これは、小学校低学年の生徒にも分かりやすく説明していこうという趣旨で作られたものですけれども、およそ全ての国民に見ていただきたいというふうに考えているものです。
 ハンセン病問題に関する正しい知識とともに、偏見・差別の解消には、こういったものを自分の問題として捉えられる視点を持ち、行動を変えていくことが必要であることを、この動画の中でしっかりと説明していますので、是非、皆様方も一度見ていただいて、これを広げる方向に向けて、御協力をお願いできればありがたいと思う次第です。
 法務省の人権擁護機関では、この動画を使った人権教室を行うことも予定しております。
 また、学校の授業などでも、この動画を活用していただきたいと思います。
 3件目は、司法外交を推進するため、法務省が来週から再来週にかけて開催します、二つの国際会議について御説明いたします。
 まず、来週の24日・25日の二日間にわたって、「第3回アジア太平洋刑事司法フォーラム(Crim-AP)」を、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)と共催いたします。
 このフォーラムは、2021年に京都で開催された、第14回国連犯罪防止刑事司法会議、通称「京都コングレス」で採択されました「京都宣言」のフォローアップとして、定期的に開催しているものです。
 アジア太平洋地域の刑事司法実務家同士の連携を促進するためのものでして、今回3回目ですが、20を超えるアジア・太平洋地域の国・機関から刑事司法実務家が参加してくださる予定となっています。
 また、これに続いて、26日から7月2日まで、「第1回ASEAN・G7ネクスト・リーダーズ・フォーラム」を開催したいと思います。
 このフォーラムは、昨年7月に開催したASEAN・G7法務大臣特別対話において、ASEAN・G7の相互の長期的な信頼関係を構築すること、そして、世代を超えてそれを引き継いでいく観点から、我が国が提唱して創設された大切なフォーラムです。
 今回が初回であり、ASEANとG7から約60名の法務省等の若手職員が参加してくれます。各国の問題や共通の問題について、様々な議論が行われる予定ですが、しっかり人的なつながりを持っていただいて、ASEAN・G7の「横」のつながり、また、この若手が集まることによって、世代を超えて次の時代に「縦」のつながりで繋がっていくことも、重要な視点だと思っております。
 私も開会式には出席させていただいて、参加してくださる若い職員の顔を見て、その会場の雰囲気や状況をしっかりと把握していきたいというふうに思っています。また御報告する機会があればと思います。

外国人との共生社会の実現に向けたロードマップに関する質疑について

【記者】
 外国人技能実習制度に代わる育成就労制度の創設を盛り込んだ改正入管法などが、14日に参議院本会議で成立し、今日21日に公布されました。
 今回一部変更された外国人との共生社会の実現に向けたロードマップにも、育成就労制度の創設により、外国人材に選ばれる国となるための受入れ環境の整備などが盛り込まれました。中長期滞在する外国人の増加が見込まれる中、育成就労制度の円滑な実施や共生社会の実現に向けて、ロードマップなどをどう生かしていくか教えてください。

【大臣】
 今日、手続を経て、新しい育成就労制度の創設を盛り込んだ改正入管法などが公布されました。
 同じく今日、ロードマップの一部変更を、会議で決定していただくことができました。この二つがそろうことによって、外国人に選んでもらえる国として、日本を適切に開いていくことが、これから現実に可能になっていくというふうに思います。
 その中で、入管法の方は、どちらかというと、日本にまず来ていただくというところで機能する部分もかなりあると思います。ロードマップの方は、来ていただいた外国人の方が、今度は定着していただくようにする方向であり、この二つはしっかりと役割分担しているわけではないのですが、大まかに言うと、そういった機能分担になるような感じを持っています。
 したがって、ロードマップの活用が、非常に重要な政策の中心になるべき事柄だと思います。
 そして、それに加えて、総合的対応策というものも取りまとめています。
 ロードマップというのは、時間をかけてやるべき中長期的課題に取り組んでいくという考え方ですが、総合的対応策ではそれらを補強して、少し違う角度でもう一度、しっかりと政策を束ねて明記しています。
 これら、いずれも重要な項目ですが、強いて言えば、まず私は、外国人育成就労機構の体制の整備や、日本語教育の質の向上など、国会審議でも多く議論された問題について、ロードマップ等を作ったことで、そのスタートラインに立つことができたわけですから、しっかりとこれから取り組んでいこうという決意のもとにいるところです。

(以上)



出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00524.html