法務省|【失踪対策のおさらい】法務大臣閣議後記者会見の概要【令和6年9月6日(金)】
今朝の閣議ですが、法務省請議案件は特にありませんでした。
また私からの御説明等は、今日は特にありません。
技能実習生の失踪が過去最多を更新したとの報道に関する質疑について
【記者】
9月3日の一部報道で、2023年の技能実習生の失踪が過去最多を更新したとの報道がありました。27年に新制度の育成就労が導入されますが、見解と対策を改めてお願いいたします。
【大臣】
お尋ねの報道、もちろん承知しております。
相当数の技能実習生が失踪しているということについては、我々も大変重く受け止めているところです。
この技能実習生の失踪原因は様々です。明確に特定するということもなかなか困難な面もありますけれども、大きく言えば、やはり一部の受入れ機関側の不適正な取扱い、また、技能実習生の側の経済的な事情などが影響しているものと見られるところです。
まず最初の対応としては、やむを得ない事情がある場合には技能実習生の転籍が認められるわけですけれども、転籍に係るやむを得ない事情の内容をより具体的かつ明確にしていこうという形で運用改善を速やかに図りたいというふうに考えております。
このやむを得ない事情による転籍を、もう少し噛み砕いて申し上げれば、例えば、実習実施者の倒産などにより技能実習の継続が困難になった場合、実習先での暴行、常習的な暴言、ハラスメントなど人権侵害行為があった場合、また、雇用契約等の条件又は待遇と実態の間に相違があると認められ、是正の申入れを行ったけれども是正されないといった場合等の事例について、検討を今進めているところです。
できるだけ速やかに検討を終えて、運用改善を図りたいというふうに思っています。
二つ目の大きな失踪対策としての取組は、新たな育成就労制度の下における具体的な取組が、いくつか挙げられます。
監理支援機関、あるいは外国人育成就労機構といった機関の機能の強化のために、外部監査人の設置などによる中立性・独立性の確保といった取組も必要ですし、また、転籍制限を緩和することによって労働者の立場をより尊重すること、外国人が送出機関に支払う手数料等が不当に高額とならないようにするための仕組みを導入すること、あるいは、不法就労助長罪の法定刑の引き上げによりブローカーを排除することなど、失踪等の原因となる要因の解消を図っており、最初に申し上げた支援機関、あるいは就労機構については、不適切な事案の発生を予防するという意味では大きな効果が期待されます。
こういった段階をしっかりと踏まえながら、技能実習生の失踪問題に、より的確に取り組んでいきたいというふうに思っております。
こどもの在留特別許可に関する質疑について
【記者】
仮放免のこどもへの在留特別許可の特例措置なんですが、最近こういう事例がありましてですね。大学生の人ですけれども、内定を取ったと。去年の8月にね。それでもう、今年の4月に卒業したと。この人は日本生まれで、ずっと仮放免で育ってきてですね、いまだにですね、再審情願などをしたんだけれども、認められずにですね、いまだに在留許可が認められないということで、内定がですね、もう取消し寸前になっていると。もう8月ですからね、去年の8月に内定出てですね、今、8月になっているので、もう会社も待ってくれないわけですよね。
これについてはですね、去年ですね、8月の4日、ここでですね、齋藤法務大臣は、大人についてもですね、成人した人についてもですね、日本生まれだった場合はですね、小・中・高校卒業してですね、本人に瑕疵がない場合は、過失が要するに、消極的理由が無い場合はですね、認めるんだと。基本的にね、在特の対象にするんだというふうに言っているわけなんですけれども、これはですね、明らかに今の事例はですね、私が申し上げた事例は、この方針にですね、反しているというふうに言えると思うんですけれども。これっていかがでしょうか。
それから、ちょっと併せてですね、この際ですので、こどものね、在特についてですね、今どういう状況にあるのか。6月の、確か11日のですね、参議院法務委員会で、一例を除いてですね、もう決まったんだということなんで、もう3か月たつわけなんですけれどもね、これどうなったのか。
それから、発表するについては、出てない、出さないというふうに決めたところにも、勝手にですね、全部全てですね、周知してから、連絡してから発表するんだというふうにおっしゃってるわけなんですけど、もう既に3か月たっているので、これについても、普通は仮放免の更新は3か月ですので、最長でもですね。もう周知はし終わってると、当然思われるわけなんですけれども、今の状況ですね、いつ発表される予定なのか教えてください。
【大臣】
昨年8月4日、齋藤前法務大臣が示された方針、これはもちろん変わっていません。その方針に基づいてやっています。
ただ、この事案そのものについては、個別の案件なのでお答えは差し控えますが、この基本方針の下で審査し、仮にこの方針の対象に入らない、外れるというようなことが、一義的に判断されたとしても、個別の案件ごとに、諸般の事情を総合的に勘案して、在留特別許可を行うということをラストリゾートとして、我々もそこに大きな機能を持たせているわけです。ですから、一義的に外れているとしても、総合的な観点から、今おっしゃっていただいたような事象、状況、要素をしっかりと勘案してこどもの利益の保護の必要性に十分配慮するという形で、在留特別許可の許否を判断しているところです。
それから、進捗状況ですけれども、概ね大勢の方々に通知することができていますが、まだ完全に当事者の方々に結論を伝達するということには至っていないので、今日この時点、現在では、まだ全体像について御説明するという段階にはありませんが、おっしゃるように、もう相当煮詰まってきていますので、遠からず、我々としてもできるだけ速やかに手続を終えて、全体像をしっかりと公表し、皆様にも理解していただきたいというふうに思っています。
【記者】
今の件なんですけども、総合的に在特についてですね、総合的に判断するという、個別にね、判断されるということなんですけれども。
卒業というのはですね、非常に人生の一大イベントですね、就職もね。それで、このタイミングでですね、出てないと、出さなかったというのは、これは、それで大きく本人の人生が変わっちゃうわけですよね、内定取り消しになったら。そういうちょっとなんですかね、やっぱりちょっと総合的に解釈しても、このタイミングで出してないというのはですね、やっぱり何だかんだあるとしても、去年の齋藤大臣のおっしゃっていることについてですね、それとやっぱりちょっと、そごがあるというふうにね、普通に考えると思われるんですけど、いかがでしょうか。
【大臣】
おっしゃるように個別の案件なので、ここで私がこうだとは申し上げられませんけれども、個別の案件の中に、そうした重要な要素が入っているということを、我々も見落とさないようにして、丁寧に丁寧に、様々な要素を総合的に勘案することが、我々のあるべき立場だと思っておりますので、そうした考え方をしっかりと事務方にも徹底していきたいというふうに思います。
(以上)
出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00540.html