法務省|育成就労などに対する法務大臣の考え【令和6年4月16日(火)】法務大臣閣議後記者会見の概要

 今朝の閣議ですが、法務省案件はありませんでした。
 続けて、私から、商業登記規則等の一部を改正する省令について、御報告させていただきます。
 会社の代表者の住所は、登記事項として誰でも確認することができますが、全て自宅の住所がオープンになってしまうということに対する抵抗感や、個人情報保護の観点からの問題提起もあり、起業される方にとって一つのハードルになっているというような御指摘がありましたので、法務省において検討を進めてまいりました。
 そして、本日16日付けで「商業登記規則等の一部を改正する省令」を公布いたしました。
 これは、一定の要件の下で、株式会社の代表取締役等の住所の一部を登記事項証明書等に表示しないこととする改正です。具体的には、市町村名まで表示し、そのあとの地番は書かないということです。本年10月1日から施行されます。これが、新たな起業の促進に繋がることを期待したいというふうに思っております。

入管法等改正案の審議開始に関する質疑について

【記者】
 本日から育成就労を新設する技能実習法や出入国管理法の改正の議論がスタートするかと思います。どのような姿勢で議論に臨まれていくのか、大臣のお考えをよろしくお願いいたします。

【大臣】
 今日の午後から、入管法等の一部改正法案と入管法及び技能実習法の一部改正法案の審議が衆議院本会議で始まります。
 長らく議論されてきたテーマですが、やはり原点に立ち戻って、日本にとっての外国人との共生社会というものをしっかりと踏まえて、その必要性を我々もよく説明し、また国民の皆様にもそれを理解していただくというところが出発点だと思います。
 労働力が足りないから外国人の方々に日本に入ってきてもらって、何とか頑張ってもらいたいというだけでは済まない。やはり外国人の方々にも、日本に入ってきてもらって、生きがい、やりがいを持って生活してもらい、できるだけ長く日本で頑張っていただいて、そこで幸せになっていただく。外国人の方々の幸福追求ということにも、我々はもっと心を砕き、そして、より長い目で見れば、共生社会というのは、日本に様々な多様性という形でプラスのものをもたらしてくれると思います。
 しかし、入ってこられる外国人の数が、おそらく増えていきますので、やはり入ってきた外国人の方々には国内のルールを守っていただくということも大事なポイントになります。ルールを守っていただければ、今度は日本の国民も、外国人の方々を受け入れようという姿勢がより強くなる。そういう良い循環になっていくという点も、今回よく理解を進めてもらいたいと思っているところであります。
 育成就労という在留資格を作りますけれども、これは特定技能と合わせた形で、3年、5年、合計8年の期間を経て、スキルアップ等していただく、そういう分かりやすいものになったと思います。
 転籍制限も色々な議論がありましたし、これから国会でも議論があると思いますけれども、よく説明し、理解していただくよう努めたいと思います。様々な論点が他にもあると思いますけれども、審議に向けてベストを尽くしたいと思います。

法制審議会民法(遺言関係)部会第1回会議に関する質疑について

【記者】
 今日、自筆の遺言制度に関する法制審議会の初会合が開かれます。改めて、どんな議論を期待されるか、所感をお願いします。

【大臣】
 現行の自筆証書遺言というのは、財産目録を除く全文、日付、氏名を自書して押印して作成するということになっていますが、パソコンなどのデジタル技術が普通の生活の中でもう使われていますので、遺言を作成する段階でルールを決めて、そういうデジタル技術を活用してみてはどうだろうかという考え方に基づいて、今年の2月に法制審に諮問いたしました。
 諮問の内容は、「情報通信技術の進展及び普及等の社会情勢に鑑み、遺言制度を国民にとってより一層利用しやすいものとする観点から、遺言者が電子的な手段を用いて作成することのできる新たな遺言の方式に関する規律を整備することを中心として、遺言制度の見直しを行う必要性があると思われるので、その要綱を示されたい」となっています。
 様々な論点があると思いますけれども、一定のスピード感を持って議論が進むように期待し、我々もまた事務局として、その議論を促進できるように努めたいと思います。

中野法務大臣政務官の川口市訪問に関する質疑について

【記者】
 先週13日なんですけれども、中野法務政務官と君塚出入国管理部長が、地元選出の新藤義孝経済再生担当大臣と共に、埼玉県川口市内の2か所の公園を視察されて、奥ノ木川口市長や市議会議員等と意見交換を行い、新聞各紙で報道されました。それでこの地域は、在留外国人が多く住んでいる地域で、仮放免中の難民申請者とその家族も多く暮らす地域です。その多くは特にクルド人の人たちが多いんですけれども、以前にも、仮放免者の生活安定のために、就労許可、医療負担、それからこどもの教育問題などについて、奥ノ木市長から当時の上川法務大臣や齋藤法務大臣に対して、改善策を求める要請が出されました。
 それで、今回の視察目的と、どのような意見交換をされたのか、そしてどのような対応策を入管行政として検討するお考えか、お聞かせください。
 また、今後、当事者や支援者などと直接意見交換するようなことも考えてらっしゃるのかどうかについてもお答えをお願いいたします。

【大臣】
 4月13日土曜日、中野政務官が、埼玉県の川口市を訪問して、多文化共生施策の取組や、外国人住民をめぐる諸課題について、奥ノ木信夫市長等と意見交換を行いました。そのことは承知しております。当日は市内の公園を視察して、市担当者から説明を受けたほか、奥ノ木市長等との意見交換では、外国人住民をめぐる諸課題について意見交換が行われたという報告を受けております。法務省は外国人材の受入れ・共生に係る諸施策を政府全体として取りまとめる司令塔の役割と、総合調整の役割を担っています。この多文化共生施策促進のためには、国と地方公共団体の連携が重要であるという認識のもとで、今回中野政務官も訪問したのだと思います。
 お尋ねの、クルド人当事者や支援者等との意見交換、これは現時点では考えておりませんが、今回の意見交換等でいただいた御意見等も参考にしつつ、今後も地方自治体と連携して、多文化共生社会の実現のための各種取組を進めていきたいと思っております。

在留特別許可ガイドラインの改定に関する質疑について

【記者】
 前回の記者会見なんですが、在留特別許可のガイドラインに関連した質問をしました。付与される在留資格について、個別事情に応じて判断するので一概に答えられないという御回答でした。
 しかし、過去10年間を振り返ってみても、退去強制令書発付後に難民申請したケースで、難民不認定であっても帰国できない事情に鑑みて、人道的配慮で定住者の在留資格が出ることも多かったですし、日本人配偶者等の在留資格も、今現在と比べると出やすかったと思います。それで在留活動に厳しい制限がある特定活動ではなく、活動内容に制限がない在留資格が出ていました。その中で、定住者が何回か更新されて永住者の在留資格の申請をするという傾向が以前はあったと思うんですが、今国会での先ほど入管法の改正の話が出ましたけれど、先日公表された在特のガイドラインの改定では、定住者とか永住者といった取得条件を厳しくしたりですね、それから永住者の取消し制度も作ろうとされています。
 なぜ安定した在留資格の取得のための手続の法整備ではなくて、外国人の定住や永住条件を厳しくしたり、日本人配偶者等の条件を厳しくしたりするのでしょうか。これは本当に多文化共生社会を作る上でも、障壁になるのではないかなと思うんですが、大臣の考えをお願いいたします。

【大臣】
 在留資格につきましては、何度も御説明申し上げているように、従来から、当該外国人が行うとする活動、外国人が有する身分、地位、こういったものに応じて、あくまで個別に判断を積み重ねていくという状況です。
 もう一方で、永住者を含めて外国人にも我が国の構成員として、ルールを守っていただくということも重要なことであると考えます。それができれば、日本の国民もより多くの外国人を受け入れようという気持ちが湧いてくるのではないかと思います。ですから、そういう長い目で見て、多くの外国人の方を受け入れるためにも、日本に来られたときには日本のルールにしっかり沿っていただくということも重要なことであって、そういう施策を今回も講じようとしているところです。個別事案に応じて、本当にその個別事案にふさわしい措置を採っていくというやり方をこれからもずっと、適切に積み重ねていきます。そのように御理解いただきたいと思います。

(以上)



出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00506.html

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