法務省|法務大臣閣議後記者会見の概要

令和5年9月19日(火)

 今朝の閣議におきまして、法務省案件は特にありませんでした。

技能実習制度に関する質疑について

【記者】
 先日の就任会見の続きにもなりますが、大臣が最重要の政策課題として挙げていた技能実習制度についてお伺いします。大臣も、日本ベトナム友好議員連盟の事務局長として、今年5月にもベトナムに訪問されて、今月21日には国交樹立50年となる日越関係の現状についても御見識があるかと思っております。(技能)実習制度をめぐっては、ベトナムが実習生の半数以上を占める最大の送出国となっている一方で、その現場では、人権侵害と指摘される事例や、実習生の失踪も相次ぐなど、課題も少なくありません。国際協力機構の2040年推計では、ベトナム人の来日労働者が今後も増えると見込まれております。その上で、技能実習制度におけるベトナムの位置付けについて、大臣の御所見をお伺いします。

【大臣】
 私は確かに議員外交という分野で、ベトナムの議員の方々と交流を重ねてきておりまして、その中で技能実習制度についても、議連の立場から大きな関心を持って見守ってきたところです。ベトナムは御承知のとおり、近年ものすごい勢いで経済が発展しています。日本との関係もますます緊密になる中で、技能実習制度というのは、申し上げるまでもなく日本にとっても、ベトナムにとっても大変大きな意義を有する制度になっていると認識しております。ただ、具体的な中身まで入っていくと、最大の送出国ではあるのですけれども、失踪する方々の数は、絶対数からいえばベトナムが一番多いという問題もありまして、これをしっかりと改善していくと。双方の国にとって一番いい形で改善していくということは必要だと思いますが、まずその前提として、現行制度の適正化もしっかりやらなければいけないと思うのです。
 技能実習法に基づく監理団体の許可制や外国人技能実習機構による実地検査、母国語相談、こういった措置のほか、二国間取決めを作成して、両国で協力しながら実態を把握し、具体的な措置を取っていくという取組も行われているわけですよね。日本に来ている全ての国と二国間取決めがあるわけではないようですけれども、特にベトナムは大きな送出国ですから、いち早く二国間取決めを作って、日本側が不適正な事案を把握した場合にはベトナム政府に通報して調査を依頼し、様々な指導、送出機関の認定取消し等を求めるなどの具体的な取組を積み重ねてきているところでもあります。やはり両国の協力関係というのは非常に重要だと思います。実務的に難しい問題があるからこそ、より意思疎通を深めていくということも必要だと思います。国内においては厚生労働省等の官署、あるいは関係機関との連携も大事ですけれども、対外的にはベトナムだけではありませんけれども、関係国との協力がベースとして非常に重要だと考えております。ベトナムに限らず、日本に技能実習生を送り出していただいている国々は、日本にとっても大切な国々であり、そういった国々にとってもこの制度は非常に重要な大切な制度だということを、改めて心にもう一度思い起こしてしっかり取り組みたい。適正化に取り組みたい。制度改正の問題も入っているわけですけれども、そんなふうに思っています。

法務省による災害時の支援に関する質疑について

【記者】
 先週から各地で大雨が降っていて、災害なども出ているんですけれども、法務省として災害派遣の予定であったりとか、支援の予定があるか教えてください。

【大臣】
 台風被害というのは、全国津々浦々いつ起こるか分からない大変に厳しい災害であります。法務省としても、是非全力でできることをしようという考え方のもとで、これはもう数年経っていると思いますが、刑務所が典型だというふうに聞いていますけれども、法務省の関係施設を避難所として開設して、住民の支援をするという取組を行ってきております。直近の台風13号については、各地域からの御要望が必ずしもなかったので、具体的な措置には至っておりませんけれども、いつでも受け入れられるよう、刑務所等に食料や水などのストックがありますから、そういったものもいかしながら準備をしています。でも、まだまだ工夫の余地があると思います。自治体との連携も強化したいし、要請を受けてからすぐ対応できるような、そういったことも日頃の訓練、関係者との意思疎通、そういったものをより強められるように、私自身も現場に行ってみて努力したいなというふうに思っております。

国内人権機関の創設等に関する質疑について

【記者】
 就任の記者会見で、大臣は人権問題における包括的な差別禁止法の制定について、既に1、2回大きな議論があり、不断に検討はしているが結果的に個別法で対応することになったというふうにお答えになりました。おそらく、今まで2回国会提出されて廃案になった人権擁護法案や、その後成立した障害者差別解消法、それからヘイトスピーチ解消法、部落差別解消法のことなどを指していらっしゃるだろうと思います。先の通常国会でもLGBT理解増進法が成立しましたけれども、いずれの法律も国連機関が日本政府に対して求めてきた差別禁止法ではない理念法で、当事者団体や弁護士会などからも繰り返し包括的差別禁止法の制定や、差別実態の調査や人権救済のために独立した国内人権機関の創設を求めてきました。今年、日本政府が議長国のG7の中で、包括的差別禁止法も国内人権機関も存在しないのは日本だけだというふうに言われております。大臣は、自民党の二階派に所属していらっしゃると思うんですが、部落差別解消法成立の議論にも関わっていらっしゃったんじゃないかなというふうに思うんですけれども、なぜ包括的差別禁止法ではなく個別の理念法しか成立しないで、独立した専門機関として国内人権機関が日本には今現在存在しないというふうにお考えでしょうか。

【大臣】
 この間も同趣旨の御質問をいただき、また質問の中でもおっしゃったようなお答えをさせていただきました。大変重要な問題であり、また大きな問題でありますので、これまで国会という場も含めて国全体で議論がなされてきまして、その積み重ねの上に今の制度があるわけですね。でもこれはやはり不断の検討、不断の議論をこれからも続けていく必要があると思っています。日本の社会全体が国際化の中で、多様性を重んずる、お互いに尊厳、人間としての尊厳、人権を尊重していく。そういった大きな流れがありますから、そういったものも踏まえながら、様々な議論をこれから更に深めていく。それをやがてまた集約していく。そういう大きな流れの中に我々は今いると思っております。これまでの積み重ねの中では、個別法によるきめ細かな実践的な取組をしていこう、積み重ねよう、こういう流れが一つあるわけでございまして、その中で更に人権救済というものを深めていけるような日々の努力、これもまた大事な点だと思います。大きな議論と目の前にあるものの積み重ねという両方を重視しながら不断の検討を進めていきたいと思っています。

【記者】
 同様に、前回も質問させていただいたんですが、大臣の地元で100年前に起きた朝鮮人虐殺の真相究明、これ(埼玉県)本庄市ですとか、それから上里町、それから熊谷市、それから今年は寄居町でも初めて追悼集会が行われたんですけれども、こういった関東大震災の朝鮮人虐殺、あるいは中国人虐殺といったことについて、真相究明や公式謝罪の在り方についても、大臣、どのようにお考えでしょうか。前回、つまびらかではないというふうにお答えだったんですけれども、地元でそういうことがあったということもあり、国際的な関心もありますので、是非基本的な考えをよろしくお願いします。

【大臣】
 政府の見解として、過去の質問主意書、国会答弁等では、事実関係を把握することのできる記録は見当たらない。こういうふうに答弁をさせていただいていると承知しております。その点を御理解いただきたいと思います。

改正入管法施行に向けての課題に関する質疑について

【記者】
 先の通常国会で、改正入管法が成立しましたけれども、2年前に国内外で批判の声が高まって廃案になった法案とほぼ同じ骨子でした。国会審議の中でも、難民審査の在り方や難民参与員制度の在り方、それから難民申請の回数の制限、それから入管収容施設の医療体制の実態、それから司法審査が収容に関して介入しないということも含め、色々な側面から色々な議論がされました。法律施行に向けて、どのような課題があると現時点で大臣はお考えでしょうか。もし齋藤(前)大臣からの申し送りの事項等がございましたら、それもよろしくお願いします。

【大臣】
 入管法改正は、もう既に御存じのことかと思いますが、国民全体の安心、安全を守るための枠組みをしっかりと作る、また維持をする。その中で外国人の方々の人権を最大限に尊重していく。こういう二つの命題のバランスを保ちながら、パッケージとして法律案を作って御議論いただいて、修正もあったと思いますが、法律が成立しまして、施行の準備に入っています。ですから、まず私がやるべきことは、法案の成立過程をしっかりともう一度、その議事録も読ませていただいて、立法者の趣旨を、これは齋藤(前)大臣を始め、当局の皆さんが頑張ってこられたわけで、皆さん方も議論に参加されたのだと思いますが、まずしっかりと把握して、これを速やかにスムーズに適切に施行できるように、政省令などの準備をしっかりやっていくというのがまず一番の課題だというふうに思います。
 二番目の課題は、これは先ほどの話ともつながりますけれども、やはりこれ、実務的に非常に複雑な手続、多様なニーズ、国民のニーズ、外国人からのニーズがありますから、これこそ不断の見直し、検討、常に現場から上がってくるものを見て、また皆さんの御意見も踏まえて、常に検討していくと。これも大きな課題だというふうに思っています。制度の趣旨等については、話すと長くなりますから、また機会があれば、意思疎通をしたいと思います。

(以上)



出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00446.html