法務省|育成就労制度の創設等に関する質疑について・法務大臣閣議後記者会見の概要【令和6年2月9日(金)】
今朝の閣議でありますが、法務省(も関係する)案件が一つありました。「平成30年度決算に関する衆議院の議決について講じた措置」が国会提出案件として閣議決定されました。
一点報告ですが、閣議の後開催されました「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」について御報告申し上げます。
この関係閣僚会議において、有識者会議の最終報告を踏まえた政府の対応について、正式に決定していただくことができました。法務省も、厚生労働省を含め関係省庁と協議をしながら、昨年提出していただいた有識者会議の最終報告や与党の提言等を踏まえて、政府としての対応方針を取りまとめてきたところでありまして、今日の関係閣僚会議でそれを報告し、総理にも御出席いただいて、了承していただいたということであります。今日決定しました最終方針は、共生社会の実現、選ばれる国になる、そして中小零細企業における人材確保にも留意をする。こういった点を柱として、具体的には育成就労制度を創設します。これは、人材確保及び人材育成を目的とする制度の創設、育成就労制度の創設。そして、適正化方策を講じた上で、特定技能制度を引き続き継続させるとともに、両制度の連続性を持たせるという内容になっています。所要の改正法案を今国会に提出するべく、検討を進めていきたいというふうに思っています。
性同一性障害特例法の規定に係る家事審判事件に関する質疑について
【記者】
岡山家庭裁判所(津山支部)が、性同一性障害の当事者が行った手術なしでの性別変更の申立てを認める決定をしました。去年10月に最高裁が判断を下してから初めての決定となりますが、受け止めをお願いしたいのと、政府として性別変更の法改正の議論をどう進めていくのか、現在の状況と今後の見通しをお答えください。
【大臣】
岡山家庭裁判所津山支部において、性同一性障害特例法第3条第1項第4号の規定を違憲とした昨年10月の最高裁決定を踏まえて、同規定を除く要件を満たすとして、性別変更を認める決定がされたことは承知しております。これは個別の案件でありますのでコメントは差し控えたいと思いますが、こうして現実に事象が動いていきますので、関係省庁において、こうした最高裁の違憲決定を踏まえて、違憲とされた要件がないとした場合の実務的な課題や対応等について鋭意検討しているところでもあります。そもそも、対応する立法をどうするかという問題があるわけで、これは法務省としての検討もさることながら、立法府での議論、考え方、そういったものとも十分連携する必要があると思いますので、密接に意思疎通、意見交換しながら、引き続き適切な立法に向けて対応していきたいというふうに思っています。なかなか難問ですけれど、できる限り早期にそれが実現できるように努力をしていきたいというふうに思っています。
犯罪被害者等支援弁護士制度に関する質疑について
【記者】
昨日、犯罪被害者等支援弁護士制度の概要が自民党の部会で示されました。この制度の意義や期待することに加えて、法案が国会提出されて可決された場合、いつから開始する予定なのか、めどを教えてください。
【大臣】
犯罪被害者等支援弁護士制度の問題は、立法措置を講じようということで、自民党の部会にも示したものであります。生命や心身に重大な被害を及ぼす一定の罪の被害者、またその御家族は、被害直後から必要となる様々な対応について、御自身が、あるいは御家族そのものが精神的・身体的被害等によって動けない、自らそれを行えないという状況があり、また経済的困窮から、弁護士による援助も受けられないという場合が多々あるわけであります。犯罪被害者等支援弁護士制度は、こうした被害者等について、犯罪被害者となった直後の早期の段階から、弁護士による、行政・民事・刑事を含めた包括的な、かつ継続的な寄り添い型の援助を受けられるようにしようという目的を持って、この制度を創設していこうという方針の下に、今進んでいるところであります。この制度を創設するために必要な総合法律支援法の改正法案を今国会に提出できるように、必要な準備を進めております。この法案が提出できて、そして法案を可決していただくことができた場合には、公布後2年以内に施行する予定でありますので、関係規程の整備、担い手となる弁護士の確保等にあらかじめしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。
育成就労制度の創設等に関する質疑について
【記者】
育成就労制度に関してですけれども、本日政府の方針も決定されましたが、改めてこの育成就労制度になることの期待点についてお聞かせください。また、転籍に関して、有識者会議では、労働者の権利確保の観点から就労開始1年超、自民党では、中小企業の人材確保の観点などから少なくとも2年、と異なる考えが示され、調整が難航していたことと思われます。今回、転籍が1年から2年の範囲で制限できるとなった結論について、大臣の御見解をお聞かせください。
【大臣】
まず、育成就労制度の創設、これは技能実習制度からの大きな考え方の変更がベースにはあると思うのです。一定の人材を預かって、そしてそういう方々に技能を習得していただいて、また本国に戻ってもらう。期限付きの形ですよね。それは国際貢献にもなるし、(実態としては)人手不足というものを補う要素にもなり得ていた制度ですけれども、今回の育成就労というのは、日本でしっかりと人材として育成していくのです。もちろん、本国に帰って、そこでその就労の成果を発揮していただくことも十分それはあり得るわけですけれども、制度の目的としては、就労をまず日本で確保し、また育成をしていくと。そちらに大きな主眼を置いた形ですよね。そういう制度改正だというふうに思っています。
その中で、今度は転籍についての議論が両側からありました。同一機関で一定就労することが要件であるとしても、できるだけ早く転籍を認めるべきだという意見と、そうすると地方からの労働力の流出が起こるという御懸念と、それぞれの意見がありました。どちらも非常に重要だし、大切な指摘でありますので、調整というのは非常に難しかったです。しかし、御案内のような形で、1年から2年の期間を持ち得ると。1年を目指しつつも、1年から2年の幅の中で、継続就労の要件を決められると、業態ごとにね。そういうところに落ち着きました。これは、制度というのはやっぱり現実に現場に置いてみて、何が起こるのかをよく見て、変更していくということはどうしても必要なんでしょうね。だから、一発これで大正解みたいな答えは出ないので、どちらにせよ誤差というか、ぶれというか、それは出てくると思うのですよね。必要なのは、それを的確にキャッチし、その本質を見抜いて手を打つことだと思っています。だから、これは実施段階まで行って初めてその姿が理解されていくものだというふうに思いますが、法務省としては、今後も立法過程において様々な御議論をいただきながら取り組みたいというふうに思っています。
【記者】
私も育成就労についてお伺いしますけれども、人権の確保と、それから人材の確保と、特に地方において人材の確保は今、大変課題になっていて、ますます枯渇している感じもするんですけれども、そういった面で、大臣にはこの方針というのはどのように評価されているのか。それから、私は結果的に転籍制限というのは、ある程度強化なんですか、有識者会議の提言よりは強化されるような形になったとは思うんですが、もっと何て言うんですかね、地方にとってはやっぱりそれは人材はやっぱり来てもらいたいので、地方に誘導するような、規制するのではなくて誘導するような政策というのはもっとできないのかなというふうに思っているんですね。地方から出てくるのを止めるというよりは、地方にもっと誘導するような、そんなような施策がもっと見えるといいなというふうに思うんですが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
【大臣】
今の御質問の後半の部分、地方に戻す(誘導する)という施策が取れないのかという御指摘ももっともな点はあると思いますが、まず今やるべきことは、地方へ戻す(誘導する)かどうかもあるんですが、日本に来てもらわなきゃいけないと。日本に来てくれなくなってしまうということがまず切迫した大きな問題だと思うんですよね。中長期的に日本にしっかりと就労あるいは育成就労という制度の下で、外国人の人材が来てくれるようになれば、それと並行して、都市部と地域で、業種ごとに違うと思いますけれども、適正な配分とかそういう議論は非常に重要だと思うんですけれど、私の今のこの法律が必要だという部分は、やはり日本が(就労先として)選ばれる国にならなきゃいけないと。だから今、選ばれなくなりつつあるんじゃないかという意見もあるわけですよね。そんなふうに思っています。
それから、地方への配慮。地方が細ってしまっては、それは元も子もないわけでありますので、転籍を認める場合でも、同一の業務区分に限る、一定の期間の継続就労というものを前提にする、転籍先の企業においても、育成がきちっと図られるかどうかを確認する、そういった仕組みや、当分の間、民間職業紹介事業者の関与は認めないというふうになっています。ブローカーの関与は徹底的に排除するという形も整えています。そして、各省庁がやるべき施策が、共生社会に向けたロードマップの中に、非常に緻密にきめ細かく書かれていて、それを各省と一生懸命やっているので、その先にある自治体がやるべきこともあると思うんです。つまり、地方に定着してもらう。外国人労働者あるいは日本に在留する外国人に、地域に定着してもらうという、そういう大きな取組を一方でしていきますので、そういった経済的な理由あるいは社会的な取組、経済的な仕組み、社会的な取組、そういったものを総体として、地域から外国人材が不自然な形で出ていかないようにしていく。それは十分配慮したいと思いますし、配慮した形になっていると思いますが、なおそこはよく注意を凝らして対応していくべきテーマだというふうに思います。
【記者】
今の関連の質問ですけれども、今日の育成就労に関する政府の基本方針のことについて、関係閣僚会議をやったということですが、この中には、永住許可の取消要件の強化に関する入管法の改正というのは含まれているんでしょうか。これについては、定住者や永住資格を持っている方の付与を前提とした法整備を進めずに、それに対する要件を厳しくするということについて、批判の声も外国人支援団体などから上がっていますけれども、そういう声に対して、外国人の長い目で見た人生とか、人権を尊重したきちっとしたやっぱり移民、難民の社会統合政策を正面から検討すべきだという声も上がっていると思うんですけれども、今日の基本政策の閣僚会議の内容に即した形でお答えください。法案を入管法が改正されて提出するのであれば、それの時期とかについてもお答えください。
【大臣】
永住許可制度の適正化については、法改正するかどうかも含めて現時点で詳細はお答えを控えさせていただきますので、申し訳ありませんけれども、まだどちらとも言えないということで御理解いただければと思います。従来から、永住者に関する様々な問題点や指摘があるわけですね。それを踏まえてしっかり課題として取り組んでいこうということがロードマップに書かれていますので、それをしっかりと実際にやっていかなきゃいけないよねといいますのが、おっしゃるように育成就労あるいは特定技能を通じて、永住者として生活される方にここが増えていく可能性が高まってきているので、そこにある問題についてはあらかじめきちんと対応するべきではないか。それは永住者を押さえつけるかのように見えますが、長い目で見たときにそこの不適切な永住者の在り方をそのまま放置すると、日本の社会全体が永住者を受け入れなくなってしまいます。きちっと対応することによって、むしろ中長期的にはより多くの永住者を受け入れることにつながるというふうに私は思っています。そのための対応ということは、しっかりと考えていく必要があると思います。
それから、外国人の受入れについて、様々な御意見はあるとは思いますけれども、今日の決定の中で、育成就労制度の創設と特定技能制度の適正化の後に、大きな柱として、外国人の人材確保、それから人材育成に加えて外国人の人権保障、労働者としての権利性の向上、これが主要な柱として立っているんですよね。ですから、それも長い目で見て共生社会を作っていくために非常に重要なポイントになる。そういう観点から、そういうことの取組がしっかりと掲げられています。様々な御意見があります。外国人の方々を受け入れるというのは様々な局面があります。多面的です。その多面性に応じて様々な御意見も頂くわけでありますけれども、そうした御意見もしっかり踏まえながら、さっき申し上げたように実施ベースでしっかりと適切に対応していきたいなというふうに思っています。
法案全体の提出予定時期、これもまだいつだということは言えないわけでありますけれど、でも今日一つの節目を越えましたから、これから条文を作り、法制局等と審議をして、各省庁ともう一回擦り合わせをして、できるだけ早く出したいなというふうに法務省としては思っています。
(以上)
出典:法務省 Webサイト
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00485.html
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