観光庁|宿泊分野特定技能1号評価試験実施要領

令和6年1月
国土交通省観光庁観光産業課

宿泊分野特定技能1号評価試験実施要領

1. 目的

本要領は、外国人が宿泊分野に係る「特定技能1号」の在留資格の取得のために受験する宿泊分野特定技能1号評価試験に関し、その公正かつ適正な実施を図るために必要な事項を定めるものとする。

2. 試験概要

(1)実施主体
本試験は、宿泊分野特定技能1号評価試験(以下「試験」という。)と称し、その実施主体は、次のとおりとする。

実施主体:一般社団法人宿泊業技能試験センター(以下「センター」という。)
所在地:東京都千代田区平河町2-5-5全国旅館会館2階

(2)試験言語
試験言語は「日本語」とする。ただし、専門用語等については注釈として英語や試験実施国の現地語等、他の言語を記載することもできるものとする。

(3)実施方法
学科試験及び実技試験によって行う。
学科試験は、コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式(注)又はペーパーテスト方式により実施する。
(注)コンピュータを使用して出題、解答するもので、受験者は、コンピュータの画面に表示される問題をもとに、画面上で解答する。実技試験は、CBT方式又はペーパーテスト方式による判断等試験により実施する。

(4)事業年度における実施回数、実施時期及び実施場所
翌年度の試験スケジュール(実施回数、実施時期及び実施場所)については、以下の原則を踏まえつつ、センターと観光庁との調整の上、観光庁が決定し、別途公表する。
・国内試験は、毎月実施する。
・国外試験は、数年間、同じ実施国において前年同月に実施する。
・国内、国外試験とも、翌年度のスケジュールは当年度の9月末までに決定する。

(5)受験資格者
試験を受けることができる者は、試験実施日当日において年齢が満17歳以上の外国
人とする。ただし、日本国内で試験を実施する場合にあっては、在留資格を有する者を対象とし、退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限ある機関の発行した旅券を所持していない者を除く。

なお、令和2年1月30日付け出入国在留管理庁発出に係る「『特定技能』に係る試験の方針について」によれば、試験に合格することができたとしても、そのことをもって「特定技能」の在留資格が付与されることを保証したものではなく、試験合格者に係る在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請がなされたとしても、必ずしも在留資格認定証明書の交付や在留資格変更の許可を受けられるものではなく、また、在留資格認定証明書の交付を受けたとしても、査証申請については、別途外務省による審査が行われ、必ずしも査証の発給を受けられるものではないとのことであり、その旨を受験案内において周知することとする。

(6)試験実施時の注意事項
国外試験の実施に当たっては、現地の関係法令及び規則を遵守し実施する。

(7)試験申込み
① 受験希望者はセンター公式サイト(以下「サイト」という。)上に設ける申込フォームから受験申込みを行う。これ以外の方法(書類・電話・メール)による受験申込みは受け付けない。受験申込みの際に必要な情報は、次に掲げるものとする。

(ア)氏名(姓→名の順に記入すること。なお、姓名の区別がない場合はフルネームで
記入すること。)
(イ)生年月日
(ウ)性別
(エ)国籍
(オ)連絡用メールアドレス
(カ)受験会場
(キ)受験者本人と識別できる顔写真
(ク)その他必要な事項

② 国内受験希望者は、上記①に加え、在留カードを所持している場合は試験申込み
時の在留カード番号、在留カードを所持していない場合はパスポート番号を登録する。また、サイト上での受験申込み完了後、指定された口座にセンターの理事で構成される理事会(以下「理事会」という。)が別に定める額の受験料を前払いする。入金が確認できた時点で受験受付が成立する。なお、入金後の申込内容の変更やキャンセルはいかなる理由があった場合でも受け付けず、次に定める場合を除き、受験料は返却しない。

(ア)センターの責めに帰すべき理由がある場合
(イ)センターが認めた場合
(ウ)自然災害等により、試験が実施できないと試験監督者が判断した場合(代替
の試験が実施された場合を除く。)

③ 国外受験希望者は、上記①に加え、母国政府が発行する試験申込み時の公的身分
証明書番号を登録する。また、受験申込み完了後、受験料は、理事会が、別に定める額を納付するものとする。

④ 受験者は、サイトで申込みを行った際に用意するマイページ(以下「マイページ」という。)にて、受験会場及び受験日時を確認するものとする。

⑤ 受験票は、受験申込み完了後にマイページに表示されるので、受験者は、これを
印刷し受験当日持参するものとする。

⑥ 受験者は、試験会場での受付時に、印刷した受験票、氏名及び受験者本人と識別
できる顔写真付きの身分証明書(国内受験者は在留カード又はパスポート)を提
示し、本人確認を受ける。

(8)合否の通知方法
センターは、試験実施日から30日以内に受験者に対し、メールにて合否結果が判明
したことを通知し、合格の場合はマイページにて合格通知書を表示する。
合格通知書の閲覧期間については、合格証明書の有効期限と同様に10年とする。

3. 試験実施体制等

(1)試験問題作成体制
① センターは、試験の公正かつ適正な実施を図るため、試験委員会を置く。
② 試験委員会は、理事長が選任する試験委員4名をもって組織する。
③ 試験委員会に、委員長1名を置く。委員長は、理事長が試験委員のうちから選任
する。
④ 理事長は、試験に関し高い識見を有する者であって、宿泊業について専門的な技
能、技術又は学識経験を有する者のうちから、試験委員を選任する。
⑤ 試験委員の任期は、2年とする。ただし、理事長は、これを再任することができ
る。
⑥ 理事長は、試験委員が次に掲げる事項のいずれかに該当する場合、当該試験委員
を解任することができる。
(ア)職務上の義務違反その他試験委員たるに適しない非行があると認める場合
(イ)心身の障害のために職務の遂行ができない場合
⑦ 委員長は、試験委員会の会務を総理し、試験委員会を代表する。
⑧ 試験委員会は、必要に応じて、委員長が招集し、その会議を司る。
⑨ 試験委員会は、試験委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
⑩ 試験委員会の議事は、出席試験委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長
の決するところによる。
⑪ 試験委員会の職務は、次のとおりとする。
(ア)試験の範囲及び試験基準案の作成
(イ)試験問題案及び採点基準案の作成

(2)試験問題評価体制
① センターは、試験の公正かつ適正な実施を図るため、評価委員会を置く。
② 評価委員会は、理事長が選任する評価委員4名をもって組織する。
③ 評価委員会に、委員長1名を置く。委員長は、評価委員会の推挙に基づき、理事
長が評価委員のうちから選任する。
④ 理事長は、試験に関し高い識見を有する者であって、宿泊業について専門的な技
能、技術又は学識経験を有する者のうちから、評価委員を選任する。
⑤ 評価委員の任期は、2年とする。ただし、理事長は、これを再任することができ
る。
⑥ 理事長は、評価委員が次に掲げる事項のいずれかに該当する場合、当該評価委員
を解任することができる。
(ア)職務上の義務違反その他評価委員たるに適しない非行があると認める場合
(イ)心身の障害のために職務の遂行ができない場合
⑦ 委員長は、評価委員会の会務を総理し、評価委員会を代表する。
⑧ 評価委員会は、必要に応じて、委員長が招集し、その会議を司る。
⑨ 評価委員会は、評価委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
⑩ 評価委員会の議事は、出席評価委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長
の決するところによる。
⑪ 評価委員会の職務は、次のとおりとする。
(ア)試験の範囲及び試験基準案の審査・決定
(イ)試験問題及び採点基準の決定
(ウ)試験監督者の報告に基づく合否判定及び判定結果の理事長への報告
(エ)その他試験の運営・実施に関する事項の検討

(3)試験実施体制
① 試験監督者の選任
(ア)試験監督者は、試験実施・運営と不正防止に関する十分な研修を受ける等、業務
を適切に行うことができる人員を選任する。
(イ)試験監督者は、試験に関する職務に関して知り得た秘密を洩らし、又は盗用して
はならない。
② 試験監督者の配置
学科試験及び実技試験の試験監督者は、試験会場ごとに1名以上配置する。

(4)試験会場の準備
試験会場には、主に、次に掲げるものを準備する。
(ア)試験問題及び採点表
(イ)受付場所等の設置
(ウ)試験会場を示す立て看板、張り紙等
(エ)受験者への説明のための黒板等
(オ)受験者名簿
(カ)実技試験に必要な用具等
(キ)救急医薬品一式
(5)学科試験の実施

① 試験監督者の事務
(ア)試験中の不測の事故等に対し、直ちに必要な措置をとれるように体制を整える。
(イ)受験者からの試験問題の内容に関する質問は、原則として受け付けない。
(ウ)試験に関し、受験者が不正行為等を行ったことを確認した場合は、次項(6)に
より、適切な措置をとったうえ、速やかに評価委員会に報告する。
(エ)CBT方式により実施する場合においては、試験終了後、受験者を実技試験まで
の間、その場に待機させる。
(オ)試験終了後、速やかに採点を行い、理事長が定める試験報告書を作成し、採点結
果、解答及び試験問題を合わせて、評価委員会に提出する。

(6)試験の中止
① 学科試験において、試験監督者等の試験担当者は、不正行為を監視し、試験担当
者が、明らかに不正行為があったことを確認した場合は、試験監督者の判断に基
づき、その受験者につき試験を中止し、試験問題及び解答用紙並びに受験票を回
収して、その受験者を退場させ、不正事実を記録する。
② 試験監督者は、受験者が試験中に、他の受験者の迷惑になるような行為をしたと
きは注意し、これに従わないときは、試験監督者の判断に基づき、その受験者に
つき試験を中止し、試験問題及び解答用紙並びに受験票を回収して、その受験者
を退場させ、その事実を記録する。
③ 試験監督者は、上記①及び②の場合、適切な措置を講じた後、速やかに評価委員
会及び理事長に報告する。

(7)実技試験の実施
① 受験者の確認
試験監督者は、試験会場内で、受験者本人を確認するため、受験票の顔写真と照
合する。
② 試験開始前の準備
(ア)試験監督者は、試験会場を点検して、試験の準備が整っているかどうかを確かめ、試験実施上支障がないことを確認する。
(イ)試験監督者は、試験実施上必要な諸注意について受験者に説明する。
③ 試験終了後の事務
(ア)採点は、別に定める実技試験採点基準に基づき、試験監督者が行う。
(イ)試験監督者は、試験終了後、理事長が定める試験報告書を作成し、点検した採点
表と合わせて、評価委員会に提出する。

4. 試験水準

技能試験の水準については、専門性・技能を生かした業務に即戦力として従事できる知識と経験を兼ね備わっていることを測定するため、実務経験2年以上の者が7割合格できる水準とする。

5. 試験科目

(1)学科試験
① 宿泊業務のうちの次に掲げる4業務に関し、基礎的な知識を有するとともに、現
場において適切な対応をとるために必要な知識を有すること。
なお、試験は原則、3肢選択式とし、概ね30問程度の出題とする。
(ア)フロント業務
(イ)企画・広報業務
(ウ)接客業務
(エ)レストランサービス業務
② 上記①に掲げる業務に関し、安全衛生を確保するために必要な知識を有すること
③ 宿泊業務に従事するに当たっての一般的な知識として、次に掲げる事項に関する
知識を有すること。
(ア)心構え
(イ)身だしなみ
(ウ)言葉遣い
(エ)立居振る舞い
(オ)接遇(マナー)

(2)実技試験
宿泊業務のうち次に掲げる3業務に関し、宿泊施設利用者の求めに応じ、適切な対応
をとることができること。
① フロント業務
② 接客業務
③ レストランサービス業務

6. 合否の基準

学科試験及び実技試験それぞれの正答率が65%以上を合格とする。

7. 試験の不正防止策

センターは、不正の手段によって試験を受け、又は受けようとした者に対しては、その試験を受けることを禁止し、合格の決定を取り消し、又は5年以内の期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。

8. 試験結果の公表方法

(1)各会場の受験者数及び合格者数、受験者の受験番号・氏名・生年月日及び試験の成績を記載した受験者一覧表については、必要により法務省並びに観光庁に報告する。
(2)受験者数及び合格者数については、サイト上で公表する。
(3)個人の合否については、一切公表しない。

9. 合格証明書

(1)受験者の合格証明書は、サイト上に設ける「合格証明書発行依頼フォーム」により合格者本人又は受入れ機関(以下、合格証明書の発行申請を行う者を「申請者」とする。)からセンター宛てに合格証明書の発行申請がなされたことをセンターが確認し、かつ、理事会が別に定める額の合格証明書発行手数料を受入れ機関が納付したことをセンターが確認した後に、センターから受入れ機関に郵送又はデータで送付する。

(2)なお、受入れ機関においては、在留資格変更許可申請又は在留資格認定証明書交付申請を行ったのち、合格証明書については合格者本人に引き渡すこととする。

(3)合格証明書には次に掲げる事項を明記する。
① 氏名(例:HOUMU NORIKO(姓→名))
② 生年月日
③ 性別
④ 国籍
⑤ 受験地(例:○○国○○県○○市)
⑥ 発行日(合格の発表をした日付)
⑦ 合格証明書の発行者
⑧ 試験の別(試験区分)
⑨ 受験日
⑩ 顔写真
⑪ 国内受験者の場合は試験申込み時の在留カード番号又はパスポート番号
⑫ 国外受験者の場合は母国政府が発行する試験申込み時の公的身分証明書に記載さ
れた個人が特定できる番号
⑬ その他必要な事項

(4)合格証明書の有効期限
合格証明書の有効期限は、合格通知日から10年とする。

(5)合格証明書の再交付
① 合格証明書の再交付は、合格者本人又は受入れ機関の申請により各1回に限り行
うことができる。ただし、合格通知日から10年に満たない時点で申請のあった
場合に限る。
② 合格証明書の再交付の申請は、センターが定める合格証明書再交付申請書をセン
ターに提出して行うものとする。
③ センターは、合格証明書再交付申請書の提出があった場合、審査の上、再度合格
証明書を作成し、申請者に対し交付する。この場合の合格証明書には「再交付」
である旨の表示をするものとする。

10. 試験の適切な運用をフォローする体制

観光庁は、センターに対し、本試験に関して必要な報告を求め、又は指示を行うことができる。また、観光庁は、センターが法令、本実施要領若しくは上記指示に違反した場合には、試験実施主体の取り消しができるものとする。

11. その他必要事項

(1)秘密保持義務
試験に関する業務に携わる者及び携わった者は、職務上知り得た秘密を他に漏らし、
又は盗用してはならない。また、試験の実施に当たり取得した個人情報について、関
係法令に基づき適切に取り扱うものとする。
(2)合格の取消
センターは、次に掲げる不正行為が合格証明書交付後に判明した時は、当該不正行為
を行った者に対して文書をもってその試験の合格を取り消すものとする。
(ア)試験問題等の秘密事項について試験関係者に情報提供を求め、かつ、これを受け
たとき
(イ)受験申請書の記載内容に偽りがあったとき
(ウ)その他受験に関して不正行為があったとき
(3)書類又は試験データの保存
① センターは、技能試験を実施したときは、受験者の受験番号、氏名、生年月日、
住所及び試験の成績の内容、合否等を記載した帳簿又はデータ(以下「受験者台
帳」という。)を作成し、保存する。
② 書類又は試験データの保存期間は、原則として、受験票は試験実施の翌年度の始
期から起算して1年、答案(採点結果を含む。)は、同2年、合格証明書再交付
申請書及び受験者台帳は、同10年とする。



出典:国土交通省 観光庁 Webサイト
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001719490.pdf