経済産業省|春闘交渉の本格化に向け、中小企業の価格転嫁・取引適正化について森屋内閣官房副長官が関係省庁に指示を行いました

2024年1月19日

中小企業・地域経済産業

1月19日、森屋内閣官房副長官の下で「中小企業の活力向上に関するワーキンググループ」を開催しました。原材料費やエネルギー費、労務費等が上昇する中、物価上昇を上回る賃上げのためには、その原資を確保することが必要です。春闘交渉の本格化に先立ち、中小企業庁及び各産業界を所管する関係省庁が価格転嫁・取引適正化対策について議論を行いました。森屋副長官からは各省庁幹部に対し、目前に迫った春闘において、特に中小企業で昨年を上回る賃上げを実現するため、価格転嫁・取引適正化対策を進めるよう指示がありました。

1.中小企業の活力向上に関するワーキンググループ

 中小企業の活力向上に関するワーキンググループは、取引条件の改善や生産性向上、人手不足、最低賃金引上げへの対応など、中小企業・小規模事業者が抱える課題の実態を把握し、対応策を検討する関係省庁連絡会議です。2021年1月の初開催以降、今回で第6回目となります。
 これまで、産業ごとの業慣行を踏まえた取引適正化を進めるため、業界団体が策定する「自主行動計画」の徹底や改定の呼びかけ、価格転嫁の推進、手形サイトの短縮や現金払いの促進といった代金支払条件の改善、「パートナーシップ構築宣言」の拡大や実効性の向上などを検討してきました。
 森屋内閣官房副長官の総覧の下、中小企業庁長官及び厚生労働省政策統括官(総合政策担当)が主査を務め、各業界を所管する関係省庁の局長級が参加しています。今回初めて、矢田内閣総理大臣補佐官(賃金・雇用担当)も出席しました。

2.価格転嫁・取引適正化対策に関する今後の取組方針

(1)価格交渉・転嫁対策

  • 2023年9月の「価格交渉月間」を踏まえ、交渉・転嫁の状況の芳しくない約20社の経営トップに対し、事業所管大臣名で指導・助言を行う。
  • (1)労務費の適切な転嫁に向けた交渉のあり方や、(2)原材料費やエネルギーコストの適切なコスト増加分の全額転嫁を目指す取組について、親事業者と下請事業者の望ましい取引関係を確立するための足掛かりとなるよう、下請中小企業振興法に基づき定める「振興基準」を改正。

(2)業界ごとの自主行動計画の改定・徹底

※ 各業界団体は、親事業者及び下請事業者の間の個々の取引の適正化を促すとともに、サプライチェーン全体の取引の適正化を図るため、振興基準等を踏まえた「自主行動計画」を策定しています。

  • 各業界団体へ、(1)労務費の適切な転嫁に向けた交渉のあり方や、(2)原材料費やエネルギーコストの適切なコスト増加分の全額転嫁を目指す取組について、各業種の実情に即した形を検討し、自主行動計画に反映するよう働きかける。
  • 各業界団体へ、パートナーシップ構築宣言の実施を浸透させていく旨を、自主行動計画に盛り込むよう働きかける。
  • これらの取組状況について次回の本ワーキンググループで確認する。

(3)約束手形・型取引

  • 約束手形については、「現金化までの期間が60日を超える手形等を指導対象とする検討」について、2024年を目途に結論を得るよう取り組む。
  • 「2026年の約束手形の利用の廃止」を見据え、手形の廃止に向けた取引慣行の見直しなど、働きかけの強化に取り組む。
  • 「型」の取引については、下請法等の厳正な執行を行うとともに、型取引の適正化について業界への徹底に取り組む。

3.森屋内閣官房副長官の発言要旨

  • (価格転嫁対策)多くの取引先を抱える大企業の取引方針が改善されることは、価格転嫁や賃上げの波を、サプライチェーン全体に行き届かせるためにも非常に効果的。指導・助言対象企業の事業所管省庁では、実際に取引方針が改善されるよう対応すること。
  • (業界ごとの取引適正化)個社の取引方針の改善に加え、業界特有の取引上の課題を、業界全体で克服することも重要。業界ごとの自主行動計画が改定されたが、各事業所管省庁が先頭に立って、個々の企業において遵守・徹底がなされるよう促すこと。「労務費の指針」に基づく交渉・転嫁が適切に行われるよう、また、原材料費やエネルギーコストの適切なコスト増加分の全額転嫁を目指すよう、各業種の実情に即した自主行動計画への反映について働きかけること。「パートナーシップ構築宣言」を行うことについても、全ての団体が自主行動計画に盛り込むよう働きかけること。これらについて、秋以降に開催する次回ワーキンググループで確認する。
  • (約束手形)中小企業庁と公正取引委員会において、「現金化までの期間が60日を超える手形等を指導対象とする検討」について、2024年を目途として結論を得ること。事業所管省庁においては、その先にある「2026年の約束手形の利用の廃止」を見据え、手形を用いていた取引慣行の見直しなどの働きかけを強化すること。
  • (型取引)公正取引委員会において下請法に基づく勧告が初めて行われたが、公正取引委員会と中小企業庁は厳正な法執行を行うとともに、事業所管省庁は適正な型取引について、改めて業界で徹底すること。
  • 我が国経済は、30年余り続いたコストカット型経済から、所得増と成長の好循環による新たな経済へ移行する大きなチャンスを迎えている。このチャンスをつかみとるための本丸は、物価上昇を上回る賃上げの実現。まずは、目前に迫った春闘において、「昨年を上回る賃上げ」を、特に中小企業において、実現することが極めて重要。賃上げの原資を確保するためにも、社会全体で価格転嫁・取引適正化を進めていけるよう、関係省庁で施策を着実に進めるよう、お願いする。
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担当

中小企業庁 事業環境部 取引課長 鮫島
担当者:川森、原
電話:03-3501-1511(内線 5291)
メール:bzl-s-chuki-torihiki★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。



出典:経済産業省 Webサイト
https://www.meti.go.jp/press/2023/01/20240119006/20240119006.html

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